2020年6月28日。この日の音楽イベント「ASOBINOTES ONLINE FES(※1)」で公開されたティザーPV。それがすべての始まりでした。
健屋花那さんはこの『電音部』というコンテンツにおいて、同じにじさんじ所属ライバーであるシスター・クレアさん、星川サラさんと共に声優として活躍していくことになります。お芝居、歌、ダンス、そしてDJ……健屋さんのいる「バーチャル空間」と三次元空間の壁を越えた取り組みを続ける『電音部』について今回は触れていきます。
音楽原作キャラクタープロジェクト『電音部』
電音部とは、『アイドルマスター』シリーズや『パックマン』でも知られるバンダイナムコエンターテインメントが贈る「音楽原作キャラクタープロジェクト」。Mika Pikazo(※2)氏がキャラクターデザインを担当し、多彩なアーティストがミュージックを手掛けます。
本作の主人公日高零奈をはじめとした綺羅星のごときキャラクター達の音楽を軸として、ノベル、イラスト、ライブ、ゲーム、コミックなどなど、様々なアートやエンターテインメントへと展開していく世界です。
アキバエリア、ハラジュクエリア、アザブエリア、シブヤエリア、そしてカブキエリア。トウキョウに割拠する、それぞれの“色”を有したエリアのキャラクターとミュージックが「電音部」というコンテンツを鮮やかに彩っています。彼女達とその音楽は、それ自体が魅力的であるばかりではなく、それぞれが背景となる物語を持っています。公式ウェブサイトの言葉を借りて、そのあらすじを見ていきましょう。
音楽が私と、会いたい人を繋いでくれる。
そう信じてるから!電子音楽がミュージックカルチャーの中心となった近未来。
北海道からアキバエリアに転校してきたプラモデル好きの女子高生・日高零奈が電音部に入部する。幼い頃離れ離れになった双子の姉
───瀬戸海月に会う為に。音楽により出会った少女たち。
それぞれの悩みや葛藤、そして価値観の違い、互いにぶつかりながらも高め合っていく。
「自分の信じる音楽、そして仲間達こそがNo.1である。」己の矜持を証明するため、青春の全てをかける少女たちの物語。
はじめての電音部|電音部 https://denonbu.jp/news/2494/
ミュージックの展開も盛んで、記事公開時点で116曲を越える多彩な楽曲の殆どは各所で無料公開されています。
2021年5月29日から2022年2月24日にかけては、楽曲を40週連続でリリースするというクレイジーな企画(褒め言葉)を成し遂げ、そしてまた2022年9月15日から電音部 第2部の40週連続リリースが開始され、その1週目は『THE ONE (Prod. Tatsunoshin)』鳳凰火凛 (CV: 健屋花那)。
すなわち、毎週新たな電音部楽曲が増えるという夢のような様相。この40週間は、ちょうど健屋さんが活動を休止してから復帰するまでの期間(2021年6月1日から2022年3月11日)と殆ど一致していました。この中には健屋さんが歌った楽曲も含まれており、すこや患者に「休止とは一体?」と思わせる要因のひとつとなっていました。これについては次回でも紹介して参ります。
最強の不死鳥・鳳凰火凛
健屋さんが演じるのは、シブヤエリアのエースである鳳凰火凛。「最強」の称号を恣にする帝音国際学院のカリスマ。「不死鳥」の二つ名を持つトッププレイヤーです。私生活に関しては怠惰な一面も。コミックでは、コスチュームに部屋着を使い回していることが言及されたものの、それもまた抜群のファッションセンスとして受け入れられている模様です。
健屋さんのよく通るお声は、可愛らしさと力強さを併せ持つ火凛様に命を吹き込んでいるように感じられます。しかし健屋さんは、自分の声以外の共通点について次のように述べています。
異なる世界と人々が交差する場所
健屋花那さんがキャラクターの声優として活躍する『電音部』。バーチャルYouTuberとして活躍する健屋さんがバーチャル空間から飛び出し、そして他のエリアのキャラクターを担当する声優、音楽を手掛ける数多のクリエイターなど様々な人々と交わり、化学反応が起きる。それが『電音部』の大きな特徴のひとつであると思われます。この世界では、アニメーション、ダンスミュージック、バーチャルYouTuberといったフィールド、そしてその世界を愛好する人々が交差していく光景が広がります。その様子は誰が呼んだか「オタクのサラダボウル」。
例えば健屋さんは、アニメーションやゲームにて活躍する声優たち、アイドル・歌手として活動されている方々と共演しています。ライブではダンサーたち(通称「ダンス部」)と共にパフォーマンスを披露。電音部が生み出す、こうした人々との「繋がり」については、健屋さんも楽曲「Let Me Know」を手掛けたMasayoshi Iimori氏との対談(2021年9月8日公開)で話されています。
――電音部を通して、色々なタイプの人が同じ楽曲に触れられる可能性がありますね。
健屋 そうですよね。私たちにとってもまさにそうで、電音部に参加させてもらうことで、これまで私たちのことを知らなかった人たちにも音楽を届けることができると思っているんです。それこそIimoriさんも、電音部がなければ私たちとの接点はなかったわけですし。
【スペシャル対談】『電音部 ベストアルバム -シーズン.0-』発売記念、各エリアインタビュー!【第四弾】シブヤエリア:健屋花那(鳳凰火凛役)×Masayoshi Iimori https://www.lisani.jp/0000183367/3/?show_more=1
(中略)
健屋 電音部に「音楽が大切な人を繋いでくれる」というセリフがあるように、色んな人たちを繋げてくれるようなものになっていってくれたらいいな、と思っています。
また、2021年3月29日にはDJシーザー氏とともに、健屋さんとクレアさんと星川さんが「DJ練習会」を開きました。
本配信は、にじさんじ楽曲を通じてDJの練習をし、そのままLIVEにて実演するという形式の配信。なお、LIVEパートは切り抜き禁止なので注意されたいです。圧倒的……圧倒的……あっ圧倒的……あっあっあっ……
健屋さんとDJ。並行世界の住人のように思われた存在を結ぶ『電音部』は、人々の可能性を無限大に広げるコンテンツだと感じられます。
健屋さんの配信活動においては、アザブエリアの灰島銀華を演じる澁谷梓希さんと配信内で共演する機会もありました。
「ボイスサンプル」とは読んで字の如く、声優の「声」のサンプルのこと。「自分はこんな声ですよ」「自分にはこれほどの演技の幅がありますよ」ということを示すものです。第1回(2020年10月27日)でボイスサンプルの台本を書き、次の日に澁谷さんをゲストに招いて収録をしました。仮面ライバーベルト(田角モデル)の詳細が気になるところです。
さらにその次の月にはラジオ番組形式の配信『すこやか放送』では澁谷梓希さんがゲストとして出演しています。
このように、健屋さんのいる「バーチャル」という世界がDJやダンスミュージックという別世界と交わり、新たな世界が創造されてゆく。健屋さんが「最強」のキャラクターを演じながら不死鳥のごとく光り輝く「電音部」という世界は、音楽を軸に無限大の夢と可能性を秘めたフィールドといえるでしょう。
注釈
(※1) ASOBINOTES ONLINE FES
バンダイナムコエンターテインメントにおける、「オト」を起点とした「アソビ」を提供するブランド「ASOBINOTES」の音楽イベント。ちぢめて「AOF」とも。新木場Studio Coastにて行われ、ネット上で生配信されました(アーカイブは残っていない)。「CHARACTER」「GAME」「AKIBA POP」、そして「VIRTUAL」という4つのフロアに分かれ、にじさんじ所属の健屋花那さん、シスター・クレアさん、星川サラさんの3名は「VIRTUAL」フロアでトークを行いました。健屋さんはそれまでもラジオ番組形式の配信「すこやか放送」をされていたのもあり、素晴らしい司会ぶりを披露しました。
このイベント時、健屋さんたち以外は『電音部』のことなど影も形も知らない状態でした。『電音部』発表までの間、健屋さんたちはどんな心境だったのか?ということは、このイベントから1年の月日が経った「1周年記念生放送」でも語られています。
(※2) Mika Pikazo
ブラジルへの渡航経験も持つ日本のイラストレーター。鮮やかな色づかいとポップな雰囲気の絵が特徴で、数多くのライトノベルのイラストを描いています。キャラクターデザインにおいては、『Fate/Grand Order』の清少納言や謎の蘭丸Xを担当。バーチャルYouTuberの輝夜月さん、ピンキーポップヘップバーンさん、ハコス・ベールズさんの生みの親でもあります。